昨年の末から今年にかけて、イギリスのオーディオメーカーLINNから、CDプレイヤーに代わる新しいコンセプトの再生装置のシリーズが2機種発売になりました。
高い方がKlimax DS、安い方が(といっても、比較してということで、やはり高いです)Akurate DSです。
パソコンを使って予めCDからハードディスクに取り込んでおいた音源を再生する機械で、iTunesの高級なものとでも言えばいいでしょうか。
ハードディスクとDSの間はLAN回線でつなげば、あとは普通のCDプレイヤーのようにプリアンプ(プリメインアンプ)につなげばOKです。
レコードを作る仕事をしているからというよりは、昔からオーディオは好きで、自分でもそれなりのシステムを持っていますが、このDSシリーズには、久しぶりに衝撃を受けました。
とにかく音がいいです。
LP時代から音楽を聴いている人は、よくCDの音が空気感がないとか、堅いと感じると思いますが、このDSだと、その不満がなくなります。個人的には、SACDやDVD-Audioよりも、自然で、心地よい音に感じました。
つまり、記録媒体の存在を感じさせない、音そのものが(楽器や声そのものが)そこに漂っているような気になります。
理屈としては、CDプレイヤーでは避けられない、データの読み取りの不正確さを、予め読み取りソフトでしっかり読んでハードディスクに入れておくことで回避できること、そしてプレイヤーに回転する部分がないので、回転モーターによる悪い影響がないという2点が大きいらしいのですが、それだけでこんなに違うものなんですね。
CDを聴いていると、いつも楽器と楽器の間を満たす空間に隙間を感じるのですが、このDSだと、それがちゃんと空気で繋がっている感じがします。
もうひとつ大きいのが、音源はCDである必要はなく、より高品質なフォーマットの音源を、ネット上からダウンロードしてもよいという点です。既にLINNのサイトでは、そのサービスを提供しています。
これだと、私たちがスタジオで聴いている音を、そのまま家で聴いていただけるということになります。
まだ、プレイヤーも高いですが、近いうちに、アンプと一体型の、普及価格帯の機種も発売されるようですし、そうなれば、それにちょっといいスピーカーをつなげば、今までよりも格段に気持ちいい音で、音楽が聴けるようになります。
とはいえ、CDをリッピングするためのソフトや、ハードディスクの接続(NASと呼ばれる形態です)に、それなりのコンピューターの知識が必要なため、一般に広く普及するには、まだまだインターフェースの改良が必要だと思いますが、CDの次世代フォーマットとして発表されたSACDやDVD-Audioが、今ひとつ決定打とは言えなかった中、ようやく次の可能性が見えてきたような気がしました。
はじめまして。
この製品のHPを読んでみると、音声データを格納しているハードディスクを振動の少ない環境において読み取りのエラーなどを排除する思想のようですね。
今のデジタルチューナー内蔵のHDDレコーダー等はHDDの容量を大きくして録画時間を長くしたり、iPodはデジタルメモリーを使用して可動部分を無くしてコンパクトにしたりしてますがこの製品はこれらの技術を純粋に高音質を徹底的に追求するという方向性のようですね。
私事で恐縮ですが2年前までS-VHSビデオデッキを使用していましたが、三菱のデジタルチューナー内蔵HDDレコーダーに買い換えました。
これ1台でハイビジョン放送を録画できるのはもちろんのこと、CDプレーヤー代わりにも使えて大変便利ですね。
それからカーステレオのカタログを見てみたらCDチェンジャーは殆ど姿を消してしまってCDをそのままHDDに取り込んでしまう機種が幅をきかすようになっていてこれにも驚きました。
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