イタリアの超新星、弱冠26歳の指揮者、バッティストーニ

投稿者: | 2014年2月4日

2012年の2月に、二期会のオペラ「ナブッコ」で、初めて日本に登場した、イタリアの若手指揮者バッティストーニ。
当時何と24歳。
その公演をたまたま聴きにいって、あまりの素晴らしさに虜になり、二期会の方に彼のマネージャーの連絡先を教えていただき、すぐにコンタクトを取りました。必ずや世界の頂点に行く才能なので、是非仕事をしたいと思ったのです。
そして、ほぼ1年後、「ナブッコ」のオケピットに入っていた東京フィルハーモニーが定期演奏会に招聘した機会に、レスピーギのの「ローマ三部作」をライブ録音させていただきました。

「ナブッコ」でも「ローマ三部作」でも共通していた彼の素晴らしさは、オーケストラの全声部が、全て歌っていること。全員が音楽の悦びを漲らせていながら、絶妙のバランスで全体が鳴っていること。曲の最初から最後まで、生命力に溢れ、音楽が躍動していること。それは、亡くなったカルロス・クライバー以来の感動でした。
COGQ-68_Jその「ローマ三部作」のCDが、2月19日、いよいよ発売になります。
そして、初めてのCD発売を前に、先週、バッティストーニが代役で急遽来日しました。
本来振る予定だったアロンドラ・デ・ラ・パーラが、メキシコ出身で、南北アメリカに関係する作品を集めたやや特殊なプログラムであるにも拘わらず、それを変更することもなく、そのまま引き受け、3公演を指揮したのですが、これがまた素晴らしかったのです。代役で、これだけ多様なプログラムを、しかもほとんどが初めての曲という中、極めて高い水準で、生き生きとした圧倒的な力のある音楽を作り上げるというのは、本当に恐るべき才能です。

彼が凄いのは、この作品はこう表現したいという方向が非常にはっきりしているので、それほど多くをリハーサルで語らなくても、オーケストラが自然にそれに沿った音楽を奏でてしまうという点です。
そして、インタビューでも言っていたことですが、ただ無難に整った演奏をしても意味がない、オーケストラと一緒に、リスクを負って、新しいオリジナルな表現を生み出したい、というのが、ひしひしと演奏から伝わってきくる、非常に新鮮な音楽です。かといって、決して奇をてらったものではなく、楽譜を深く読み込んで、そこから彼が自然に導き出した解釈なので、これみよがしなこけおどしはひとつもありません。
読書家でもあり、深い知性に裏付けられたアンテナで、多様な要素を、スコアから読み取り、オリジナルな表現に昇華していることを感じます。

今回のプログラムで一番感動したのは、オペラシティでの「新世界」。1楽章が終わった瞬間の、客席の、文字通り息を呑むような沈黙、2楽章の陶酔的な美しさ、3楽章から4楽章の、爆発的な推進力とヨーロッパの地方色溢れる舞曲的な興趣の果ての、ストップモーションのような終幕、全てが印象的でした。
最終日のマーラーも良かったのですが、「新世界」があまりに圧倒的だったので、それに比べるとやや普通に感じてしまいました。もちろん通常で考えれば、充分感銘のあるいい演奏だったのですが。

現在26歳の恐るべき才能。是非1人でも多くの方に体験していただきたいと思っています。クラシックのコアなファンの方を熱狂させ、普段クラシックをあまり聴かない方にも理屈抜きに音楽の楽しさを伝える、希有な指揮者です。


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