本田美奈子「AVE MARIA」録音レポート

本田美奈子「AVE MARIA」録音レポート

2002年12月~2003年4月 コロムビア・スタジオ他

本田美奈子さんのコロムビアでの初めてのアルバムは、12月のオケ録りから少しずつ進め、4ヶ月に渡ってじっくり作っていきました。美奈子さんにとっても、クラシック・ヴォイスでの録音は初めてで、最初はお互い手探りの部分がありましたが、次第にペースをつかみ、最終的にはとても素晴らしいアルバムができました。
歴史のある楽曲に正面から取り組んだ彼女の歌の力、そして今の時代に息づいているクラシックに、きっと感動していただけると思います。

編曲の井上鑑さんのスタジオで、キー合わせの時の一コマ。100曲以上の候補の中から絞り込んだ曲を、ここで実際に歌ってみて最終的な選曲を行いました。
まずはオケ録りから。
編曲の井上鑑さん。シンセサイザーと生楽器の絶妙な組み合わせで、自然でインパクトのあるサウンドを作って下さいました。原曲の良さを生かしながら、現代にふさわしい音世界になっていると思います。
ミュージシャンのコーディネイトはレガートミュージックの木尾栄子さん。美奈子さんとは古いつきあいです。
エンジニアは、このHPをご覧になっている方にはお馴染みの塩澤君。彼とは数々のアルバムを一緒に作っています。進化を続ける彼は、今回も丁寧にいい音作りをしてくれています。
アシスタント・エンジニアは今井君。家が遠いので22時を過ぎるともう電車がなくなってしまう彼は、連日スタジオに泊まっています。常に先回りして作業をしてくれている優秀なアシスタントです。
今回は和楽器も取り入れました。これは「シシリエンヌ」で琴を弾いてくれた丸田美紀さん。他に「アメイジング・グレイス」では、藤原道山さんが尺八で参加してくれています。
畑で野菜を作るのが趣味の美奈子さんは、我々スタッフに大根を差し入れてくれました。水分が多くておいしかったです。
今回の企画は、岩谷時子さんの日本語詞なしには成立しませんでした。なんて自然で瑞々しい詞だったことでしょう。しかも毎回歌入れに立ち会ってくださり、場合によっては、言葉が旋律に乗りやすいようにその場で変えてくださることもありました。
ピアノの演奏も素晴らしい井上鑑さん。「ベラ・ノッテ」はピアノと歌だけで、一緒に呼吸を感じながら録音しました。
後から部分的に楽器を足しました。これは「ジュピター」でのエレキソロ、土方隆行さん。しびれましたね~。
これは歌入れ最終日の写真。
マスタリングは、元コロムビアの保坂さんのスタジオで。今は一口坂スタジオ内に「保坂ルーム」という専用スタジオを構えています。
一年ぶりに保坂さんにマスタリングしていただきましたが、ますます腕に磨きがかかっていてびっくり。最高の音に仕上がりました。
これで全て完成!

収録曲目は、

流声(井上鑑)/アヴェ・マリア(カッチーニ)/私のお父さん(プッチーニ)/タイム・トゥー・セイ・グッバイ(サルトリ)/美しい夕暮れ(ドビュッシー)/ヴォカリーズ(ラフマニノフ)/グリーンスリーヴス(イングランド民謡)/ジュピター(ホルスト)/私を泣かせて下さい(ヘンデル)/シシリエンヌ(フォーレ)/ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ(モリコーネ)/タイスの瞑想曲(マスネ)/アメイジング・グレイス(ニュートン)/ベラ・ノッテ(ペギー・リー&ソニー・バーク)