高木綾子&福田進一「海へ」 録音レポート

高木綾子&福田進一「海へ」 録音レポート

2004年6月18~20日 スイス、ベインウィル修道院

高木綾子さんの久しぶりの新譜です。
当初は、新イタリア合奏団との企画を予定していたのですが、イタリア人編曲家の急病のため中止。代わりに実現したのが、この福田進一さんとのギターデュオアルバムです。
録音場所も大至急探して、バーゼル郊外の修道院で行いました。

イタリアでの録音の予定だったため、飛行機のチケットはミラノ行き。やむを得ず、ミラノからレンタカーで、アルプスを越えて、スイスに入ります。
アルプス越えの峠の途中で昼食を。
この日は天気に恵まれ、移動中の景色を堪能してしまいました。
これがバーゼル郊外のベインウィルという所にある修道院。人里離れた丘の中腹に作られています。
録音に使用する教会の外観です。
修道院には教会以外にも、住まいや馬小屋などがありました。回りには何もないのでとても静かな所です。
奥が教会の入り口です。
さあ、これが内部。
大きく二つに分かれているので、まず手前で音を聴いてみます。
東京でリハーサルは行ってきましたが、やはり素晴らしい響きの教会で弾くと、ノリが変わってきます。
機材を用意してくれたのは、いつもヨーロッパでお世話になっている、ガスタイナー氏。エンジニアの塩澤君に、コンソールの使い方を説明しています。モニタールームは、牧師さんの控え室です。
場所を祭壇の前に移し、引き続きリハーサル。音はこちらの方がいいようです。
音決めを終え、長かった1日が終了。福田さんの恩師である、オスカー・ギリア氏が、バーゼルに住んでいるので、私たちのホテルを訪ねてくれました。バーゼルに留学中のお弟子さんも一緒に、夕食を。
さて、録音1日目。
静かな修道院ですが、唯一の気になるのは教会の定時の鐘の音。それも、紐で縛って止めてくれました
響きが多いだけに、マイクの位置が少し変わるだけで、音の距離感がかなり変化します。
すぐ近くには何もないので、昼は車で15分ほど走った小さな村のレストランへ。
これは2日目の様子。「海へ」では、アルトフルートを使用しています。
この日は、福田さんの師であるオスカー・ギリア先生が、録音を覗きにいらっしゃいました。
これが滞在したホテル。修道院まで車で10分ほどの小さな村にあります。
ネコ好きの高木さん。
最終日、録音が終わって、修道院の裏で記念撮影。
この日は、スイスの名物フォンデュを食べました。
全員で記念撮影。

短期間で準備した録音でしたが、高木さんの本能的な音楽への肉迫力と、福田さんの深い音楽的教養が相まって、素晴らしいアルバムができたと思います。
特に「タンゴの歴史」は、この二人ならではの、インパクトの強い名演が繰り広げられていますので、是非聴いていただければと思っています。

収録曲は、
1. ブエノス・アイレスの雲(プホール)
Nubes de Buenos Aires (Maximo Diego Pujol)
タンゴの歴史(ピアソラ)Histoire du Tango (Astor Piazzolla)
2. Bordel 1900
3. Cafe 1930
4. Nightclub 1960
5. Concert d’aujourd’hui
子守歌とセレナード(ボザ)Berceuse et Serenade (Eugene Bozza)
6. 子守歌 Berceuse
7. セレナード Serenade
イストワール(イベール)Histoires (Ibert)
8. I 金の亀の番人 La menuese de tortues d`or
9. VIII ガラスの籠 La cage de cristal
10. 間奏曲(イベール)Entr’act(Ibert)
海へ(武満徹) Toward the Sea (Toru Takemitsu)
11. I 夜 The Night
12. II 白鯨 Moby Dick
13. III 鱈岬 Cape Cod
14. ハバネラ形式の小品(ラヴェル)
Piece en forme de Habanera (Maurice Ravel)
15. 古き良き時代のカンドンベ
Candombe de los buenos tiempo (Maximo Diego Pujol)
16. アイルランドの女(ボーリング) Irlandaise (Claude Bolling)